チェリッシュxxx 第4章

F エッチな王子様


「・・・陸、お腹すいてるの?」
「うん―――。昼、まだだったの忘れてた」
結衣もまだ昼飯を食っていなかったから、二人でコンビニに行くことにした。
服を着ようとして、ふと思いつき、
「結衣」
「なに?」
「それ・・・」
と言って、ピンクのかわいいショーツを指差す。「濡れてて、穿けなくね?」
結衣はトマトのように真っ赤になった。オレはちょっと笑いながら、
「コンビニで新しいの買ってあげる。その代わり・・・」
と結衣の耳に唇を寄せた。「それ、ちょーだい?」
結衣が驚いたように目を見開いて、オレを見返す。
「いいでしょ? 誕生日プレゼント! ね? お願いっ!!」
オレが顔の前で両手を合わせ必死にお願いすると、結衣は恥ずかしがりながらも、最後にはしぶしぶ首を縦に振ってくれた。
オレの服を着せて、近所のコンビニへ。
「へ、ヘンじゃないかな?」
しきりに自分の格好を気にする結衣。
体育祭のとき、学ランを着ていた結衣にも興奮したけど、オレの服を着ている結衣も・・・やっぱり・・・いい!
「大丈夫・・・」
オレは結衣に囁く。「誰も、結衣がパンツ穿いてないなんて、気付いてないよ・・・」
結衣は、これ以上ないってくらい顔を赤くして、思い切りオレの背中を叩いてきた。
コンビニでパンやドリンク、それから結衣のショーツを買って店外に出たところで、
「・・・あっ! ゴメン! 先に行ってて!?」
と結衣がコンビニに戻ろうとする。
「? なんか買い忘れ? パンツなら買ったよ?」
結衣はオレを睨んで、
「そんなんじゃないっ! いいから、先に帰ってて!」
と店内へ戻って行った。
ゆっくりとした足取りでマンションへの道を歩いていると、間もなく結衣が追いついてきた。
「何買ってきたの?」
手に持っている袋を覗き込もうとしたら、
「ダメっ! 見ないで!!」
と結衣はコンビニの袋を後ろに隠した。
? なんだろう?
ウチに着いて、二人でパンやおにぎりを食べていたら、電話がかかってきた。
「―――え? うん、分かった。・・・あんま、飲み過ぎんなよな? この前みたいに迎えに行ってやんねーからな? ・・・うん、じゃ」
母親だった。受話器を置くと結衣が、
「お母さん?」
「そ。仕事先の人と飲んでくるって」
オレは肩をすくめながら、
―――ラッキーだな・・・ 結衣との時間を邪魔されなくて済む・・・
と考えていた。
「母子家庭・・・って言ってたけど・・・、小さい頃から?」
「中3から。オヤジの浮気が原因で離婚したから」
「そーなんだ・・・」
「だから、今野ってのはオフクロの旧姓」
と言いながら、ペットボトルに口を付けたら、結衣が、
「なんか・・・知らなくて・・・、ゴメンね」
結衣が謝る理由が全然分からなくて、
「ん? なんで? ・・・もう慣れたし? ってか、うるさく言われないから、逆にラッキーだよ?」
「じゃ・・・ もしかして、今までの誕生日、1人だった?」
「ん―――? ・・・かな?」
って、親に祝ってもらうって年じゃないけどな・・・
結衣はちょっとだけオレを見つめた後、さっきコンビニで買ってきた袋から何か取り出した。
「なんか、コンビニで売ってるもので、アレなんだけど・・・ 急だったから、何も用意できなくて・・・」
小さな、イチゴがのっているショートケーキだった。
「17歳おめでとう! 1日早いけど、お祝いしよ?」
「―――ん!」
最高の誕生日だ! ―――1日早いけど。
「あ! 陸、なんで先にイチゴから食べてんのっ?」
「え? なんで? ダメ?」
「ダメだよ! お楽しみは最後に取っておかなくちゃ!」
「そーかなー・・・ ってか、クリーム食べた後にイチゴ食べると、スッパイじゃん」
「そーだけど・・・ でもやっぱり、イチゴは最後だよっ!」
「それに、こうして・・・」
とオレは結衣のイチゴにフォークを刺す。「途中で誰かに食べられちゃうかもよ?」
「あっ! 陸っ!!」
結衣がフォークを持っているオレの腕を引っ張る。オレは笑いながらそれを口に放り込んだ。
結衣に押し倒されるようになりながら、肘をつく。
「もうっ! 信じられないっ!!」
オレにのしかかるようにして、オレを睨んでいる結衣。
怒った顔も、かわいいね?
オレはそのままの体勢で、結衣の頬に手を添えた。
「・・・り、陸?」
モードが切り変わったのに気付き、緊張する結衣。
「・・・唇にクリーム、付いてるよ・・・」
と言って、結衣に唇を近づける。
「ウソっ?」
うん。ウソ。
「・・・取ってあげる・・・」
と言って、結衣の唇を舐めた。
「・・・・・ンッ! り、陸・・・ ンンッ」
何度も向きを変えて、結衣の唇を食む。そのまま体勢を入れ替えて、結衣の上になる。
頬に添えていた手を肩に滑らせ、そのまま胸へ。
「・・・んっ、あ・・・ ちょっ・・・ちょっと、陸・・・?」
結衣はまさか、と言う顔をしてオレを見返している。
「・・・2回戦」
「ウ、ウソでしょっ!」
オレは結衣を抱えあげて、
「お姫様・・・ ベッド行こ?」
「こんなエッチな王子様なんか、いないよっ!!」
「イヤ、シンデレラに出てくる王子も白雪姫に出てくる王子も、みんなヤッてるって・・・」
結衣をオレのベッドにやさしく落とす。
「ちょ、ちょっと待って! もう、今日は・・・、ねっ!?」
ああ、コレコレ。
さっきみたいに、覚悟決めてくれた結衣も良かったけど、こうやって恥ずかしがって抵抗する結衣を・・・ってもの、またそそられるんだよな。
「明日会えないんだから、明日の分」
「それはさっき―――ンンッ!?」
結衣に深くキスしながら、服を脱がす。「いやんっ!」
結衣は慌ててオレから離れると、狭いベッドの上を座ったまま後ずさった。すぐにヘッドボードに背中があたった。結衣は腕で胸を隠すようにしながら、
「・・・り、陸? ホント、に・・・?」
再び結衣に近づいて、
「ホントに」
オレは結衣の首筋に唇を這わせながら、「今度は、結衣のコトも気持ちよくしてあげるから」
さっきは1人でイッちゃってゴメンね? 久々だったから・・・
初めてでイク方が珍しいんだけど・・・ せめて、さっきより気持ち良くさせてあげる。
あの、イチゴのショートケーキみたいに、甘くてとろけそうな時間を結衣にあげるよ。
「・・・ンッ、あ・・・ん」
首筋や肩口に噛みつくようにキスをする。ときどき強く吸い上げて、オレのシルシを残しながら。
指先で胸の輪郭をなぞる。小振りだけど張りのある胸は、横になっても形を崩さずにオレを見上げている。
その先には触れずに、周りを指でクルクルと撫でたら、ちょっと色を強くして固くなる。
やっぱりガマン出来なくなって、そこに唇を這わせる。
「あ、あん―――・・・」
もう片方の胸も指の間に先端を挟んで包みこみ、円を描くように揉みしだいた。
しばらく胸を攻めてから、オレはそっと唇を下方にずらし始めた。両の手は胸に残したまま。
ちょっとだけアバラが浮いた辺りやヘソにも舌先を這わせる。
結衣の意識がこっちに来ないようにしながら、結衣の足の間に身体を割り込ませる。
下肢の付け根に指を這わせたら、やっぱりもう濡れていた。
「はっ、はぁ・・・ あぁん・・・ンッ」
雫を指に絡ませて、入り口の周りに指を滑らせる。滑らせれば滑らせるほど、溢れてくる結衣の・・・
ああっ もうガマン出来ない。・・・・・そろそろ、口でしても、いいかな?
「・・・ッ! ひゃっ・・・あ、やぁ・・・あ、ああ、あん―――ッ!」
手でそこを押し広げるようにして、舌を這わせた。結衣が悲鳴に近いような嬌声を上げる。
結衣がオレのおでこに手を当て、オレの顔を押しのけようとする。でも、大して力が入ってないから、オレは無視してそのままもうちょっと上の方を攻める。
さっき結衣に悲鳴をあげさせた敏感な芽に舌が触れたら、結衣の体がビクンと大きく跳ね上がった。
「やっ、だ、めッ・・・あ、あ、あんッ!!」
結衣がオレの頭を鷲づかみにするようにして、髪をかき乱した。
舌を離さず上目遣いに結衣の方を窺ったら、二つの胸の向こう側にのけぞった結衣の白い喉元が見えて・・・ たまらなく扇情的な光景・・・
どうしよう・・・
結衣をトロけさせるつもりが・・・ また、繋がりたくなってきた。
まだ痛いかな?
オレは舌を指に代えてちょっとだけ体を起こし、もう片方の手をヘッドボードに伸ばした。
―――たくさん隠しておいて良かった。
片手で結衣に刺激を与えながら、片手で装着。
オレは字を書くときや箸は右利きだけど、それ以外は左利きだった。両手利きは便利だ。モタつかなくて済む。
結衣は目を瞑って、吐息をもらしながら必死に何かに耐えるように眉を寄せている。
そんな結衣に口付ける。結衣もすがりつくようにオレに腕をまわしてきた。
唇を胸の先に移動させる。下肢の付け根に刺激を与えていた指をどかし、オレ自身をそこへ。
さっきよりは力が入っていなかったから、ゆっくり挿れたら、少しずつだけどすんなり入っていった。
・・・やっぱり、この世の天国だ。
結衣は挿れたときこそ、眉間にしわを寄せて辛そうにしたけど、オレが同時に胸の先や脇腹辺りを刺激したら、すぐに溶けそうな表情に変わった。
ゆっくり前後に腰を振る。さっき1回イッてるから余裕がある。今度はもっと長く繋がっていられそうだ。
繋がりながら、ふと、
結衣は明日もテストがあるはずだけど、勉強しなくて大丈夫かな?
という考えが頭をよぎる。
ま、いいか。 こっちの方が人生において、もっと大事な勉強だろ?
オレは自分に都合のいい言い訳を考え、このパラダイスを手放さない。
まだ全然ガマン出来るけど、少しだけ腰の動きを早めた。結衣の表情を窺う。
大丈夫。痛くなさそうだ。
さらにもうちょっとだけ早くしてみる。
「・・・んん・・・ あ、はぁ・・・」
結衣から吐息がもれた。
―――気持ち良くなってきたのか?
同じスピードで腰を振りながら、胸の先に刺激を与えた。
「・・・やっ、ん・・・ ぁんッ! あぁ・・・」
結衣の濡れた声。ピンクに染まった切なそうな表情。うっすらと汗ばんだ弾む肌―――・・・ 全部オレのモノ。
「結衣・・・、結衣・・・ すごく気持ちいいよ・・・ 大好き、結衣・・・」
本当はもっと早く腰を動かしたかったけど、結衣が辛くなるかもしれないし、またオレだけ1人早々に果ててしまったらカッコ悪いから、オレはそのままのスピードを保ちつつ、首筋にキスしたり、胸に刺激を与えたりした。
繋がったまま、結衣とオレの間に指を滑り込ませ、敏感な芽に触れたら、
「やッ!? あ、ああんッ!!」
と結衣がオレにしがみついてきた。
「はぁっ、あっ・・・ り、陸・・・ やめ、て・・・」
「・・・なんで? だって気持ちいいでしょ?」
結衣は吐息を漏らしながら、イヤイヤをするように首を振っている。
オレは、なおも執拗にそこを攻め立てる。
「・・・ほ、ホントに・・・あ、ンッ・・・ やめ・・・」
ああっ もっと早く動かしたいっ!!
オレが自分の欲望と戦っていたら、
「・・・ん・・・陸・・・ ちょ、ホント、に・・・ はぁっ! ンッ いっかい・・・タイム・・・」
結衣が息を弾ませながら、オレの腕を強くつかんだ。
「? もしかして、痛かった?」
一瞬動きを止める。
「そ、そうじゃないんだけど・・・」
結衣もオレを見上げる。「・・・なんか、・・・トイレ・・・行きたいような気がして・・・」
「トイレ?」
結衣の顔を見返す。
「・・・でも、気のせいだったみたい・・・ ゴメン・・・」
なんだ・・・
再び腰を動かす。一緒に敏感な所も指の腹でこする。
「やっ ああんっ り、陸っ!! はぁッ! ま、待っ・・・て・・・」
「ん?」
「・・・やっぱり、あんッ! ト、イレ・・・行きたいかも・・・」
また動きを止める。
「腹でも痛いの?」
さっきのケーキにでもあたったか? イチゴが傷んでたとか? この時期だしな・・・・・
・・・って、イチゴ2個とも食ったの、オレだよっ!
「・・・お腹は痛くないんだけど・・・ ゴメン、やっぱり気のせいだった・・・」
は?
首を捻りながら、動きを再開する。再開して間もなく、
「あんッ ・・・り、陸ッ! や、やっぱり・・・ あ、はんッ」
おいおい・・・ どうした?
痛みがあるわけでも、腹こわしてるわけでもないんだよな?
オレは動きを止めずに結衣の様子を窺うことにした。
「ンッ あんっ はぁっ!」
ふと気が付くと、結衣の下半身に力が入り、かすかに震えているのに気が付いた。
―――え? ・・・もしかして・・・
・・・マジでっ!?
「あんッ・・・ ちょ、り、く ・・・ま、待って・・・」
結衣が切なそうに眉を寄せる。「こ、今度こそ、ホントに・・・ あんっ!」
「・・・大丈夫だから。 そのままで大丈夫だから」
「・・・ンッ で、でも・・・ ああ、んっ!」
本当はもっと早く腰を動かしたいんだけど、結衣はこのスピードが一番いいみたいだからガマンする。
「り・・・陸・・・ あんっ も、もう、ダメ・・・だよ。ト、トイレ・・・行きたい・・・」
オレは結衣の耳元に唇を寄せて、
「・・・違うよ、結衣。行きたいのはトイレじゃなくて・・・ 天国!」
「・・・え・・・ あ、ンンッ」
「結衣・・・ イキそうなんだよ?」
「・・・え・・・ ええっ!?」
「いいよ・・・、イッて? ・・・イカせてあげる」
「そ・・・ンッ! や、やぁッ んあっ」
両の胸の先を舌と指で攻め立てて、同時に敏感な芽にも刺激を与えた。
結衣がかわいい嬌声を上げながら、オレにしがみつく。
結衣の下半身にますます力が入り、震えが大きくなってきた。オレをさっき以上に締め付ける。
「ンン―――ッ! 陸ぅ・・・ あた、し・・・ もう・・・」
「いいよ、イきな・・・。 イッて?」
「り、陸―――ッ!」
「・・・結衣・・・ 愛してるよ・・・」
「り・・・―――あ、ああッ んっ!!」
しがみつく結衣の手が、オレの背中にくい込む。規則正しい収縮を繰り返しながら、オレをさらに締め付ける。
結衣・・・、結衣・・・ 大好きだよ。 愛してる。
―――しばらくしたら、結衣の下半身から力が抜けた。震えもおさまっている。
「・・・陸・・・ あたし・・・」
「気持ち良かった? ・・・イッちゃったね」
オレがニヤニヤしながらそう聞くと、
「―――!! し、知らないッ! 陸のバカぁっ!!」
と真っ赤になった顔を背ける。
「それはともかく・・・ね?」
オレにもイかせて?
「や・・・ あ、あんっ」
中途半端なスピードだったから、オレは結衣と一緒に go toパラダイス、とはいかなかった。
もう痛みは完全になくなったみたいだから、オレもソッコーで結衣の後を追う。
たまらない瞬間を迎え、結衣の上で息を弾ませていたら、結衣がオレの頭をなでてくれた。
―――もう、ホント、サイコーの日だ!
3回戦は出来なかった。
「ヤバイな・・・ 最終、間に合うかな?」
駅への道を二人で急ぐ。
「多分・・・」
「間に合わなかったら、オレんち泊まればいいよ」
で、3回戦・・・
「ダメ! 明日のテスト勉強、少しでもやらなくちゃ・・・」
はい。そーでした・・・
オレも定期で改札に入り、一緒にホームへ上がった。
「ホントに家まで送らなくて大丈夫?」
「うん。お父さんが車で駅まで迎えに来てくれてるから」
と結衣は言って、「それとも、お父さんに会いたい?」
「イヤッ・・・ それは、また今度・・・」
結衣が楽しそうに笑う。
最終の上り電車がホームに滑り込んで来た。結衣が電車に乗り込む。
最終電車は、乗り継ぎの関係ですぐにドアは閉まらなかった。
「明日、晴れるかな?」
結衣はドアのそばの手すりにつかまって立っていた。
「ん―――? どうだろね? オレの記憶では、誕生日に晴れてたコトないんだけど・・・」
「そーなんだ・・・ そう言えばあたしも、七夕に星見たことないかも・・・」
そんな会話をしながら発車を待つ。
なんだかこのまま別れてしまうのが・・・イヤだな。
せめて、あと10分・・・イヤ、5分でいいから、一緒にいたい。
上りの最終電車は、23時57分発。
発車のベルが鳴った。
「・・・じゃ、また。電話するね?」
「・・・うん」
「・・・誕生日おめでとう。・・・3分早いけど」
結衣ッ!!
「んっ!」
ドアが閉まる直前、結衣に口付ける。
ドアが閉まり、真っ赤な顔をして驚きに目を丸くする結衣が窓越しに見えた。
「はははっ! オヤスミ、結衣!」
結衣は、恥ずかしそうにキョロキョロと車内を見渡している。何人かの乗客が今のキスを見ていたみたいで、結衣の事をジロジロと見ていた。
恥ずかしそうな顔をした結衣を乗せた電車が完全に見えなくなってから、オレは改札への階段を下りた。
「いいわね〜! 若いって」
という声に振り向くと、いつの間にか隣に母親が並んで歩いていた。
「・・・なんだよ? もしかして、今の電車に乗ってたのか?」
「誕生日おめでとう・・・チュッ、なーんてねッ♪」
「・・・そーとー飲んでんな?」
フラフラとした足取りの 41歳バツイチ女。
「でも、あの子はいい子だわ〜。絶対逃がしちゃダメよ?」
「なんでそんなこと分かんだよ」
「だって、あたしが若い頃にそっくりだもの!!」
ウソだろっ!?
結衣もこーなっちゃうのかよっ!?
「・・・あ? 陸! あんた今、失礼なこと考えてたでしょっ!?」
持っていた小さな包みで頭を叩かれた。
「いてーなぁ・・・って、何これ?」
「ん? ・・・ああ、誕生日プレゼント」
と言ってそれをオレに寄こす。
「サンキュー・・・って、寿司の折り詰めじゃねーかっ!!」
「今日、飲みに行ったのがおすし屋さんだったのよ〜。余ったヤツ詰めてもらっちゃった♪」
しかも残り物かよ・・・
今日結衣が来てくれて本当によかった。じゃなかったら、最悪な誕生日を迎えてた。
って、正確には明日だけど。あ、もう、今日か・・・
「あ、そだ。オレ明日から停学だから」
「あ、そ。 ―――・・・って、なんでっ!?」
オレは怒りまくる母親をなだめながら家への道を歩いた。
酔っ払いの説教は、長いししつこいし、厄介だ・・・


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