ひとつ屋根の下   第8話  フラグ@

「ぜーんぜん知らなかったんだけどー。いつから?」
「い、いつからって……っ」
クラスの女子に囲まれ、しどろもどろになるあたし。
「ていうか、何きっかけ? 今までナナと伊吹くんってなんも接点なかったよね?」
「きっかけって……いや、そんなのなにも……」
ないんだけど、と言おうとしたらバン!と机を叩かれた。
「今さら誤魔化したってムダだからね! 学年全員が見てたんだから。ふたりが抱き合ってたところ!!」
「いや、抱き合ってなんかないからっ!」
あたしは慌てて首を振った。
修学旅行から帰って来てもう1週間は経つっていうのに、あたしはクラスの女子から……ううん、同じクラスの女子だけじゃなく、他のクラスや他学年からも、毎日同じような質問攻めにあっていた。
この前の業間休みには、伊吹と同じ特進クラスの男子までもがあたしを見に来て、
「へえ、あれが」
「ふつーだな」
って……普通で悪かったね!!
そりゃ伊吹が男女問わずにウケがいいのは知ってたけどさ(学校じゃ猫被ってるから!)。
それにしたって、まさかこんなに騒がれることになるなんて……

あたしの名前は倉本ナナ。地元の県立校に通う普通の高校2年生。
幼い頃にお母さんが死んでずっとパパと2人きりの生活だったんだけど、半年前にパパが再婚してからは法子さんとその息子の伊吹と一緒に暮らしている。
あたしはずっとこのことをみんなには内緒にしていた。
それは伊吹が学校内ですごく人気があったから。
特進クラスに入れるくらい勉強は出来るし、そのうえ陸上部にも入ってる。大会なんかの成績がどれくらいなのか詳しくは知らないけど、親友の里香から聞いた話だと、
「毎回予選突破ってわけじゃないけど、そこそこのタイムは出してるよ」
……だそうだ。
そもそも特進クラスで部活に入ってること自体が珍しいから、
「伊吹くんって勉強だけじゃなくて運動も出来てすごい!」
ということになっている。
さらにアイドル並みの可愛さに人当たりの良さも加わって、学校1の人気者だ。
……って、ほんとはそんなんじゃないけどね。伊吹は。
みんなから好かれてて友達も多そうだけど、実はその関係はすごく浅い。
一緒に暮らすようになって分かったことだけど、伊吹は基本的に他人を好きにならない。信用していない……といってもいいかもしれない。
それは多分、伊吹の生い立ちが関係しているんだと思う。
伊吹は法子さんの血の繋がった息子じゃない。
伊吹を生んでくれた本当のお母さんは、伊吹が小学生のときに亡くなっている。一応事故ということになっているみたいだけど、伊吹の話だと自殺らしい。
原因はお父さんの浮気だ。
しかもその浮気相手が法子さんで、お父さんはその後法子さんと再婚をした。
はじめは反発していた伊吹も、法子さんの心からの優しさに触れてだんだん心を開いていった。
そのあとも色々あって、伊吹と法子さんはお父さんから逃げるように京都から千葉に引っ越してきた。
伊吹はお父さんのことを恨んでいた。
「ぶっ殺してやる」
なんて言葉が出てくるくらいお父さんのことを憎んでいた。
そして伊吹は自分のことも嫌っている。
お父さんとの血の繋がりを厭い、伊吹を庇ったせいで法子さんが大怪我をしたことでも自分を責め……自分は法子さんの幸せを壊す邪魔者だと思っている。
だから、あたしが伊吹を幸せにしてあげようと思った。
意地悪なくせに本当は優しくて、器用に見えて実は自分のことに関しては不器用だったりする……そんな伊吹をいつの間にか好きになってしまったから。
誰が伊吹を嫌っても……伊吹自身が嫌っていても、あたしだけは好きでいる。
たとえ伊吹に好かれなくても、伊吹が笑顔になれるんだったらそれでも構わない。
伊吹から過去の話を聞いたとき、あたしはそう心に決めた。
そんな中、ずっと音信不通だったお父さんと修学旅行先の京都で思いがけず再会することになった。
そのときの伊吹の感情の激しさっていったらなかった。
あたしが、体を壊したお父さんのお見舞いに行こうって誘っても、頑として肯かなかった。それどころか、
「まだ死んでなかったのよ」
とか、
「ぶっ殺してやる」
なんて物騒なことばかり言っていた。
それでもあたしの無鉄砲な行動でなんとか伊吹をお父さんに会わせることができ、和解…とまでは全然いかなかったけど、多少は心のわだかまり解けたかな……?って感じで病院をあとにすることができた。
その修学旅行からの帰り道だった。
東京に向かう新幹線の中で、伊吹のケータイにお父さんの訃報が入った。
伊吹は全然取り乱さなかった。
泣きもしなかった。
泣くどころか、笑顔でお父さんが亡くなったことを報告してくれた。
けれど、あたしと目が合った直後、糸が切れた人形のようにふらりとあたしにもたれかかってきた。
胸が締めつけられるって、きっとああいうときをいうんだと思う。
好きっていう感情じゃない。悲しくて胸が痛いのとも違う。
……いとおしい。
ただ伊吹が愛しくてたまらなかった。
そうやってもてれかかってきた伊吹の頭をそっとなでていたところをみんなに目撃されてしまい……今、こんな状況になっている。

「ほんとに付き合ってるわけじゃないって言ってるのに……なんでみんな信じてくれないのかな」
みんなの質問責めから逃れるため、里香と一緒にトイレに逃げてきた。
「いや、あんなとこ見たら誰だってそう思うから」
どうやら里香も見にきたクチらしい。
あの日のあたしたちを最初に見つけた誰かが光の如く早さでみんなに触れ回り、そのあとはみんなが次々と見物に来る状態だった(一応コソコソと隠れてたつもりみたいだけど、あたしからは丸見えだった)。
「じゃあ、付き合ってるわけでもないのに、なんであんなことしてたの? あんな目立つとこで」
里香が不満そうにあたしを見つめる。
「そ、それは……」
「それは?」
いくら親友の里香でも、本当のことは言えない。
「……新幹線が揺れて、それで伊吹がよろけて? あたしが受け止めた……みたいな?」
里香が眉間のシワを深くする。そしてそのあと、大きなため息。
「……ナナって全然あたしのこと信用してないよね」
「え?」
「全然ホントのこと話してくれないじゃん」
「そ、そんなことっ」
ないよ、と言いかけて口をつぐむ。里香の眉が寂しそうに下がってしまったから。
「……ごめん」
でも、どうしても本当のことは話せない。
「ナナさー、修旅最後の夜どっか行ってたじゃん。それって伊吹くんと一緒だったでしょ?」
「!!!!」
驚いて里香を見る。そんなあたしを見て里香は、
「よかった。今度はウソつかないでくれた」
と少しだけ笑った。
「里香……」
「新幹線でのナナたち見て、怪しい…と思ってさ、1組の子にさりげに聞いてみたんだよね。そしたら伊吹くんも先生に内緒で外泊してたって」
いつの間にそんなリサーチを……
ダメだ、里香にはヘタな隠し事できないや。
「……うん、実はそう」
里香は少しだけ呆れた顔をして、
「毎日一緒にいるくせに、修旅に行ってまで離れていたくないなんて……どんだけラブラブなのよ、あんたたちは」
「いやだから、そんなんじゃないからっ!」
「隠すな隠すな♪ さすがにみんながいる旅館じゃできないもんねー」
里香はそう言いながらトイレを出て行こうとする。
できないって……なにをっ!?
「ホントにっ! 里香が想像してるようなこと全然してないからっ!!」
慌てて里香を追いかける。
「じゃあ、ひと晩一緒に抜け出して何やってたの?」
「そ、それは……っ」
本当のことは話せない。かといって、すぐに上手い言い訳も見つからず……
言いよどむあたしを見て里香が、
「……京都にもラブホってあるんだ?」
となんでもないことのように聞いてきた。
「あ、うん。さんざん探して……だけどね」
夜通しやってるファミレスやファーストフードが見つからなくて仕方なく……しかもそうとう古そうなね。
あ、そういえば、あのときのラブホ代って伊吹が払ってくれたんだよね。すっかり忘れてたけど。
ちゃんと半分払わなくちゃ。
いや、それとも全額あたしが払うべき? あたしが無理やり伊吹のこと道連れにしたようなもんだし……
なんてことを考えていたら、里香が勝ち誇った顔でこっちを見ていた。
「? なに?」
「……やぁーっぱそーなんじゃん」
「え?」
「ナナたち、ラブホなんか行ってたんじゃん!」
「え…… あっ!」
思わず両手で口を塞いだけど、今さらもう遅い。
里香はあたしに顔を近づけ、
「で、どうだった? やっぱ場所が変わると燃えるの?」
と耳打ちしてくる。
「も、燃えないっ! ていうかしてないっ!!」
「伊吹くんってアノときどんな感じ? やっぱ優しいの? それとも意外にもドSとか? あ、そーいえばナナ、伊吹くんに奴隷にされてるんだっけ? いや〜ん、想像しちゃうっ!」
あたしのセリフにはまったく耳を貸さず、里香はひとりで勝手に盛り上がっている。
「ホントに違うんだったらっ!!」
「みなさーん、ナナと伊吹くんはねえ」
廊下を歩きながら里香がさらに悪ノリする。
「やめてったら!」
慌てて里香の腕を引っ張り、その口を塞ごうと揉み合っていたら、
「いてっ」
と、ちょうど廊下を曲がったところにいた男子にぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい…… あっ!」
慌てて謝った直後、相手の姿を見て驚く。
その男子は缶コーヒーを持っていたんだけど、ぶつかった拍子にそれがこぼれてしまったみたいだ。制服の胸あたりが派手に濡れている。
「あーあー…」
男子が自分の制服を見下ろす。
「ごめんなさいっ! 今ハンカチっ」
慌ててポケットからハンカチを出し、謝りながら濡れたところを拭く。
「本当にごめんなさい!」
「あー、いーよテキトーで。よく見てなかったこっちも悪いし」
「いやでも……」
こぼしたのが水だったらまだマシだったのに、コーヒーとか……絶対ニオイ残るよね……
この男子があんまり怒っていないのが、多少の救いだ。
「なにやってんの、ナナ」
となりで里香が呆れる。
「だって……」
半分は里香のせいじゃん、と言いたいところを我慢してトントンと叩くように男子の制服を拭く。
そうこうしているうちに昼休み終了の予鈴がなってしまった。
「あ。次体育なんだよね。もう行かないと」
男子がスピーカーを見上げる。
「でもまだ……っ」
拭ききれてない……と、あたしがいつまでもハンカチを当てていたら、
「これ貸りてい?」
とその男子があたしのハンカチを取った。お互いの指先が触れる。
「いいけど……」
男子はそこではじめてニッと笑うと、
「洗って返すから」
と言って行ってしまった。
「えっ? あ、いいよ洗わなくてっ!」
スタスタと歩いて行く男子の背中にそう怒鳴ったら、男子は振り向きもせずあたしのハンカチをヒラヒラと振ってそのまま行ってしまった。
あたしが悪いんだから、わざわざ洗ってくれなくてもいいのに……
……ていうか、今の誰?
緑の上靴履いてたから同じ2年だよね。
ボサッと男子を見送っていたら、横で里香が、
「洗って返すとか、唐沢くんナナのクラス知ってんのかな?」
と首を傾げる。
「カラサワ?」
あたしが聞き返すと、
「知らないの? 伊吹くんと同じ特進クラスの子じゃん。ていうか、学年トップですけど」
「ト、トップ!? カラサワってあの唐沢?」
里香に言われて、やっと今のが誰なのか分かった。
今のが学年1頭のいい唐沢勝利だったんだ?
いつも定期テストの成績は上位30位までが貼り出される。
2年生は全部で300人以上いるんだけど、その上位30人はほとんど特進クラスの子で埋まってしまう。
さらにその中でも上位っていうのは毎回同じ名前が連なってて、その不動のトップが唐沢勝利!(なんか、名前もすごい)
ちなみに、伊吹は毎回20位前後をウロウロしてる。
いつもあたしの成績をバカにしている伊吹だって、唐沢勝利から見たら足元にも及んでない!
……って、それだってあたしからしたら雲の上の順位なんだけどさ。
「ナナ知らなかったんだ?」
「いや、名前は知ってるけど、本人見たことなかったかも。特進クラスって離れてるし」
「ナナは伊吹くんしか見えてないもんね♪」
「あのね……」
まだそれ言う?
あたしが軽く睨んだら、エヘ、という感じに里香は笑って、
「頭いーし爽やかメンだし顔だって悪くないんだけど……強いて言うなら、伊吹くんみたいな華がない、かな?」
「シツレーなこと言うよね。十分カッコよかったじゃん」
って、あんまよく顔見なかったけど……
「シチュエーション的には恋が始まってもおかしくないよね」
教室に戻りながら里香が脇腹をつついてくる。
「は?」
「さっきのだよ。廊下でぶつかって、キャッ! おっと……みたいな?」
「そんなのマンガの中だけじゃん」
大抵は、
「ゴメン」
でそのまま通り過ぎるか、
「どこ見てんだよ!」
でケンカになるかのどっちかだよ。
「いやーん、そうなったら伊吹くん入れて三角関係? チョー盛り上がるー!!」
「……盛り上がんないから」
だってふたりともあたしのこと好きじゃないもん。

「唐沢?」
「うん、伊吹同じクラスでしょ? どんな子?」
その日の夜。伊吹の部屋を訪ねてそんなことを聞いた。
べつに唐沢勝利情報なんかどうでもいいんだけど……
修学旅行のあとも伊吹は、相変わらず部活だバイトだで忙しいみたいでロクに話す暇もない。
ううん、逆に修旅前より顔を合わせる時間が減ってる気がする。
休んでた分いっぱいシフト入れられたのかもしれないけど……なんかつまんない。
だから少しでも話せる口実があるときは大いに利用しないと!(唐沢勝利ゴメン)
伊吹は勉強中だったみたいで、ドアを開けてくれたあとはまた机に向かってしまった。
「シ、シツレーしまーす……」
おずおずと部屋に入る。……相変わらずシンプルな部屋。
伊吹は英語の教科書に目を落としたまま、
「知らねーよ。学年トップだろ」
と面倒くさそうに言った。
「それはあたしも知ってるよ! じゃなくて……人柄とか? そんなの」
伊吹は微かに眉を寄せてあたしを見上げると、
「……誰とも揉めたりしねーし、出しゃばりでもない。ノリも悪くねーし協調性もある」
と言ってまた教科書に顔を戻した。
「そっか」
里香が言ってたとおり、悪い人じゃなさそう。
……って、とくに興味があって聞いたわけじゃないから、それ以上の感想はないんだけど。
「……そんだけ?」
「え?」
「用はそれだけかって聞いてんの。他にないなら出てけ」
と言って伊吹はさっさとあたしを追い出そうとする。
そりゃ、もう用はないけどさ。
なんなら、はじめから用なんかなかったようなもんだけどさ。
でも、せっかくだからもうちょっとなんか話したい。
「……なに。まだなんかあんの?」
「や、あの……」
なんもないけどさぁ、もっとこうさぁ……
『唐沢のことなんか聞いてどうすんの?』
とか、
『あいつとなんかあったの?』
とか、少しは話広げてくれてもいいじゃん。
……ていうか。
あたしが他の男子のこと話題にしても、伊吹はなんとも思わないんだね。
修旅の帰りの新幹線で。
あのときほんの少しだけど、たしかに伊吹の心に近づいたと思ったのに、帰ってきたらまたいつもと同じだし……
「修旅から帰ってきてから……」
「あ?」
「……なんか言われたりしない? みんなから」
伊吹が眉を寄せる。
「なんかって?」
「だから……あたしのこととか」
「は?」
あたしがあれだけ言われてるんだから、伊吹だって言われてるでしょ?
「帰りの新幹線でのこと。あたしみんなから、伊吹と付き合ってるのかって聞かれてるんだよ。伊吹は気付いてなかったかもしれないけど、みんな見に来てたんだから」
伊吹は一瞬黙ったあと、
「……へぇ。みんなヒマ人なんだな」
……って、突っ込むとこそこっ!?
「で? 聞かれておまえはなんて答えてるわけ?」
「なんてって…… 付き合ってない、あれはそんなんじゃないって言ってるよ」
あたしは伊吹が好きだから、誤解とはいえ、そんなふうに噂になるのは嬉しいことだけど、伊吹のほうはどうだか分かんないもんね。
ていうか、確実に迷惑がりそう……
なんて自嘲気味に伊吹のほうを窺うと、
「それでいい」
と満足そうに肯いている。
やっぱり噂は迷惑で、はっきり否定しといて正解だったみたい。
まあ、分かってたことだけど、やっぱり少しショックだったり……
「今後もなんか聞かれたら否定しとけよ」
「……分かってるよ」
迷惑なんでしょ。
最近ぜんぜん話せてないし、なんでもいいから話したい、って思って来たけど……なんだか落ち込む方向にしか話が行かない。
「……そのストラップ、かわいいね」
伊吹の机の上にあったストラップを指差す。……もう話題なんかなんでもいいや。
「……そうか?」
「うん、シンプルでかわいい」
伊吹は教科書から顔を上げストラップを手にした。それをほんの一瞬眺めたあと、
「んじゃ、やるよ」
とあたしに差し出してきた。
「えっ? ……いいの?」
思いがけない伊吹のセリフに驚く。
「欲しいんだろ? やるよ」
戸惑いながら両手を出すと、伊吹はその上にストラップをチョンと乗せた。
チリン、と小さな鈴の音がした。
「……ありがと」
「じゃあな」
伊吹はあたしを追い出すセリフを吐くと、また教科書に顔を戻した。
「……じゃあ、どうもお邪魔しました」
おとなしく伊吹の部屋をあとにする。そのまま自分の部屋に戻りベッドに腰掛けた。
手の中のストラップに目を落とす。クローバーをモチーフにした小さな鈴が1つ付いているだけのストラップ……
ジワジワと嬉しさがこみ上げてきた。
……もしかして、伊吹からなんか貰うのって初めてじゃない?
うわー!
チョーうれし―――!!
伊吹と話していたくてテキトーに言っただけのストラップなのに、こうやって見てみると、すっごくかわいい!
自分でも、現金だな、とは思うけど、もうこのストラップが特別なものに見えてしょうがない。
これ、買ったばっかりだよね、きっと。コードにクセも付いてないし全然汚れてないし。
本当に貰っちゃっていいんだよね?
あたし毎日持ち歩いちゃうよ!?
そーだ! ケータイに付けちゃお!
今付いてるの全部はずして、これだけ…伊吹にもらった初プレゼントだけ付けよっ!!
さっきまで、伊吹のそっけない態度にショボンとしてたけど、そんなの全部どっかいっちゃったよ!
あたしはストラップを握りしめてベッドに寝転んだ。

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