チェリッシュxxx 第3章
G 保健室で・・・!?
表彰式が終わり、椅子を片付けたあとは、着替えて各クラスで軽くHRをして解散になる。 でも大体どのクラスも、そのまま打ち上げに流れていくみたいで、ざわざわとみんな教室に残っていた。 あたしはB組に行って麻美のカバンや制服を持って、保健室に向かおうとした。 |
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「村上さん? どこ行くの?」 五十嵐くんが声をかけて来た。 「五十嵐くん・・・。保健室。麻美の荷物とか持っていくの」 「そうなんだ。・・・打ち上げ、タイム24だって」 「あ、じゃ、後から行くね」 とあたしは保健室に向かいかけて、「あっ! 五十嵐くんっ!」 「何?」 五十嵐くんが振り返る。 あたしは、一緒に保健室に行ってもらおうと誘いかけて、 「・・・ううん、やっぱりなんでもない」 と首を振った。五十嵐くんはちょっとだけ眉をひそめながら、じゃ、先行ってるね、と言って教室に入って行った。 五十嵐くんを連れて行けば麻美が喜ぶと思ったんだけど、五十嵐くん、他に好きな人がいるんだもんね。麻美もそれ知ってるみたいだし。 余計なことして、麻美を傷つけたりしたらイヤだもん。 あたしは一人で保健室に向かった。 また保健士の先生はいなかった。 ベッドは窓際に3つ並んでいて、そのうち一番左のベッドがカーテンで仕切られていた。 そっと中を窺う。 麻美は眠っているみたいだった。胸にかけた布団が、規則正しく微かに上下している。 顔を見たら、まぶたがちょっとだけ赤くなっていて、目尻に涙の跡があった。 起こしたほうがいいかな? B組も打ち上げ行くって言ってたよね? でも、寝たばっかりだったらかわいそうかな・・・ とりあえずカバンと制服を、ベッドの足元の方に畳んで置いた。 そっとカーテンを閉めて、壁の時計を見上げたとき、保健室のドアが開いた。 |
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「結衣・・・?」 陸だった。「・・・寝てんの? あの人」 「うん」 あたしは唇に人差し指を当てて、陸を手招きした。 「怪我は大丈夫だって?」 「と思うよ。さっき、ちょっとだけど、歩いてたし・・・」 陸は、そっか、と言って空いているベッドに腰をかけた。 「陸のクラス、打ち上げないの?」 「あるよ。タイム24」 「うそっ!? あたしたちもだよっ!」 陸はちょっと笑うと、 「あそこデケーからな。他にもあそこでやってるクラスありそーじゃん?」 「行かなくていいの? 陸、今日大活躍だったから、主役がいないとダメじゃん!」 と、あたしは言って、ホントに、凄かったよね、と改めて感心してしまった。 もうね、敵だったけど、赤組でも凄かったんだから。 泉さんやマリちゃんなんか凄くコーフンしてたし。 1年女子も騒いでたし。 明日から陸、また女子人気が上がっちゃうね? 「―――・・・」 「ん? 結衣?」 俯いてしまったあたしの顔を、陸が覗き込んできた。「どーしたの?」 「なんかさ、改めて、陸と付き合ってるのがあたしなんかでいいのかなーって思って」 「は?」 「だって絶対、今日の体育祭で陸に目をつけた女の子とか、いっぱいいるよ? で、彼女いるのかなーって話になるでしょ? そのとき、実は彼女があたしでした、なんてなったら・・・」 ―――絶対みんな笑うよ。 勘違いだったって分かったけど、本当に麻美の方が似合ってる・・・ あたしが俯いたままブツブツ言ってたら、陸が黙って立ち上がって、ベッドの仕切りのカーテンを閉めた。 「? 陸?」 陸は黙ったままキスして来た。すぐに深いキスに変わる。「・・・んっ」 |
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そしてそのままあたしをベッドに押し倒した。 「・・・やっ、ちょっと、陸?・・・ンッ」 陸は何度も向きを変えてあたしの唇を食んだ。そのたびに水気を含んだ音が響いてあたしは焦ってしまった。 ちょっと待ってっ!? 隣に麻美が寝てるっ!! 「ねぇっ! 陸っ!!」 唇が離れたときに小声で陸に抗議する。「隣に―――・・・」 「約束」 陸が耳元でささやく。「破ったから、お仕置き」 「え?」 「今度そんなこと言ったら、キス以上のことするって言ったろ?」 「っ!!」 そ、そう言えば・・・ 「お前もちゃんと、分かったって言った」 ・・・言った、言ったけど―――・・・ 「ん・・・やんっ」 陸が首筋に唇を這わせる。「待って!?」 「今日は、待たない」 陸がベッドに乗ってくる。そのままあたしの上に馬乗りになった。 「だって、そんな・・・急に・・・、色々準備とか・・・あ、んッ」 耳たぶを甘噛みしながら、手はあたしの脇腹あたりを撫でさする。 「大丈夫。ちゃんと持ってるから・・・」 陸が耳に息を吹きかけてきた。それだけで肌がゾクゾクとあわ立つ。 「ち、違っ・・・!そんな準備、じゃなくて・・・んっ」 間近にある陸の首筋から、太陽の匂いがした。「そ、そうだッ! あたし、汗臭いから、ダメっ!!」 「・・・そんなことないよ」 「そんなこと、あるっ!」 「そーかなー・・・」 と陸が一瞬考え込む顔つきになる。 あ、止めてくれる? と安心しかけると、 「じゃ、汗臭いかどうか、確かめてみるね?」 陸が舌先でくすぐるように首筋を舐めた。 「いや・・・ンッ!」 陸はあたしと目を合わせ、 「大丈夫。しなかった」 目を細めて笑った。「ついでだから、他のとこも確かめてみよ♪」 「やっ? 何言ってんのっ! ・・・っはぁ」 首筋や耳の付け根を何度も口付けられる。陸は口付けながらあたしのネクタイを外した。 「―――ッ!? いやっ! ちょっと、待って?」 |
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ビックリするぐらいの素早さで陸がシャツのボタンを外す。「いやっ!」 あたしは慌てて身体を捻って、両腕で胸を隠すようにした。 「今さら・・・ この前はナマで見ちゃってるのに」 と言って、陸はブラの肩ひもを腕の方に落とした。 「だってだって・・・。や、やっぱり、恥ずかしいよ・・・」 何とか待ってもらえないかとパニクる頭で考えていると、 「あ!」 と陸が何かを見つけたような声を出した。 「な、なに?」 「消えてる・・・ オレのモノってシルシ付けといたのに」 もっとたくさん付けとこ、と言って陸があたしの胸に唇を落とした。 「やっ、やんッ!」 陸が左右の胸の間辺りを何度もきつく吸い上げる。 頭に霞がかかってきたようになり、身体に力が入らなくなってきた。 ブラの上から胸を触られた。 「―――ンッ! あんっ」 たまらずあたしが背を反らせると、陸がその隙間に手をいれ、ブラのホックを外した。 やっぱり素早い動きでブラを剥ぎ取られる。 「―――もうっ、やだぁ・・・んッ」 陸が唇を合わせてくる。すぐに唇を割って、あたしの舌を絡め取る。 「・・・う・・・ふっ・・・んんっ」 陸はキスしながら、自分のネクタイを外し、シャツのボタンを外した。 やっ やだやだやだっ! 待って!? ホントに―――っ!? ホントにしちゃうのっ!? あたしが必死になって陸を押しのけようとしていると、陸がちょっとだけ唇を離して、 「・・・そうやって抵抗されると、余計に煽られるの。知らなかった?」 し、知らないよっ! って言うか、抵抗しちゃうでしょっ! 陸があたしの顎から首筋にかけて、舌先を這わせて行く。 「り、陸・・・」 「ずっとこうしたかった・・・」 一旦唇を離して、あたしと目を合わせる。「・・・気が狂いそうになるぐらい、したかった」 「あ・・・あん」 陸がゆっくりとあたしの胸に手をあて、優しく揉みほぐす。 もう、とっくに硬くなってしまっている胸の先端が、陸の手の平にあたって余計に硬くなる。 「や・・・ん ・・・んっ! ああっ・・・ン」 身体の奥が溶け出しそうな感覚が襲ってくる。 「かわいい、結衣」 陸はちょっとだけ笑って、それを口に含んだ。 「ひゃっ、・・・あ、あんっ!」 この前、シャツの上から同じ事をされた時とは比較にならない感覚が、身体中を走る。 大きな陸の手、長い指。 生暖かい陸の唇。 ちょっとだけざらついた舌・・・ あたしに触れる陸の全てが、あたしの意識をどこかに持って行きそうな、そんな感覚に襲われる。 鎖骨のあたりにときどき触れる、やわらかい陸の前髪にも・・・ |
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「・・・い、いやっ、ん! あ・・・あっん―――ッ!?」 陸の手があたしの口をふさいだ。いったん、全ての動きが止まる。 「結衣・・・ 声、大きい」 と言って、隣のベッドの方を顎で指し示す。 そ、そうだっ! 隣に麻美が寝てるんだったっ!! 「や、やっぱり、止めようよっ! こんなとこで、ダメだよ」 小声で陸に抗議する。 「ダメ?」 陸がちょっとだけ身体を離して、あたしを見下ろす。 「そ、そう!ダメっ! 止めなさいっ! 先輩の命令よっ!?」 陸はわざとらしく眉を下げると、 「・・・でも、センパイ・・・ ボク、ここからどうやって引き返していいか分かんないよ。センパイ、教えてよ・・・」 だ、誰が、ボク、よっ!? 陸が再び胸の先端に唇を落とす。 「あ―――・・・ンッ!?」 あたしが声を出す前にまた口をふさがれた。 軽く歯を立てられる。わざと音を立てて舐め上げてくる。 「・・・ンッ」 肩が強張って、知らずに背中が反ってしまう。 「・・・なんだ。やっぱり、センパイもしたいんじゃん」 陸は、口の端をちょっとだけ上げて笑うと、チラリと上目遣いにあたしを見た。「ほら。こうやって、胸、突き出してるし」 反対側の胸の先をキュッと摘まれた。 「ンンッ―――・・・ンッ!」 陸に口を押さえられているから声は出せないんだけど、そうでなくても隣にいる麻美のことを気にして、声が出るのをガマンしていたら、余計に身体が熱くなってしまった。 も、ホントに、ダメ―――・・・ 頭が溶け出しそう・・・ 思わず膝をこすり合わせようとしたら、その膝に陸が手をかけた。 |
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「感じちゃってる?」 か、感じてなんか、ないっ! 陸に口を押さえられたまま、首を左右に振る。 「ホントかな〜」 陸が、膝にかけていた手をももの方に滑らせてきた。「確かめちゃおっ」 や、だっ! ダメダメダメダメ――――――ッ!! 固く膝を閉じる。 「・・・力抜いて?」 あたしは大きく首を振った。 「じゃ、見るだけだから」 ちょっとっ!? 「見るだけ。ホントに。何もしないよ。約束する!」 前にもそー言ったけど、破ろうとしたよねっ!? 絶対信じないっ! ・・・っていうか、見られるのだって、恥ずかしいからっ!! 絶対ダメっ! 「・・・ダメなの?」 あたしは大きく肯いた。 「そっか―――・・・ じゃ、しょうがないな〜」 陸はあたしの上でちょっとだけ考え込んで、「強行手段に出るしかないか・・・」 き、強行手段って、なにっ!? 「結衣? ちょっとだけ手離すけど、声出さないでね?」 あたしは肯きながら、 出してやる、絶対出してやる――― と考えていた。 「もし出したら、誰か来る前に、もっと恥ずかしい格好にしちゃうから」 と言って陸はゆっくりあたしの口から手を離した。「それでもいいなら、いいよ? 声出しても」 あたしは息を吸い込んだ。 ・・・けれど、―――声が出せなかった。 だって、もっと恥ずかしい格好って・・・どんなのっ? それに、あたしが悲鳴なんか上げたら、陸が・・・どうなっちゃうのっ!? 「―――・・・いい子だ」 陸はあたしと目を合わせながら、「大丈夫。すぐに気持ちよくなるから・・・」 と身体をずらして、あたしの膝を立てさせた。スカートが足の付け根辺りまで滑り落ちてくる。 「結衣・・・ 大好きだよ・・・」 と言って、陸があたしの膝を割ろうとしたとき、 「小池センセ―――っ!」 勢い良く保健室の扉を開けて誰かが入ってきた。「小池セン・・・あれ? いないのかな?」 こ、この、大声は・・・ |
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「―――くそっ。またあいつかよ」 あたしの足元の方で陸が舌打ちした。 保健室に入ってきたのは、また川北先生だった! 「せっかく食事に誘おうと思ったのに・・・ どこ行っちゃったんだろ?」 と川北先生は保健室の入り口のところでブツブツ言っている。「仕方ない、ちょっと待ってみるか」 えっ!? 焦って陸の方を見たら、陸は額に手を当てていた。 川北先生が、よいしょ、と言って椅子に座る気配がする。 よ、よいしょ、じゃないよ―――っ!? 「ん? 誰か寝てるのか?」 ドキ―――ッ!! ちょ・・・、この前より、完全にヤバイ状況だよねっ!? あたしが焦っていると、陸が素早く服を着てあたしに布団をかぶせた。そしてそのままカーテンを開けようと手をかけたとき、 「先生・・・」 と隣のベッドのカーテンが勢い良く開けられる音がした。「あんまり大声、出さないでもらえます?」 麻美だった! 「なんだ? こんな時間まで寝てたのか?」 「はい。あたし騎馬戦で怪我して・・・それで、貧血も起こしちゃったみたいで、寝てたんです」 「もうすぐ5時になるぞ? さっさと帰りなさい!」 「はい」 あたしと陸が、麻美と川北先生のやり取りを息を殺して窺ってると、 「ん? そっちのベッドにも誰か寝てるのか?」 と川北先生があたしたちのベッドの方を気にした。「ほらほら、起きろ〜!?」 川北先生のサンダルの音が近づいてくる! ど、どうしようっ! 「先生っ!」 麻美が川北先生を呼び止める。 「なんだ?」 「その子、今寝たばかりですから」 「でも、もうすぐ5時だしな〜」 と渋る先生に麻美は、 「じゃ、あたしが起こしておきますから」 と言って、「それより、先生。あたしまだ体操服のままなんで、着替えたいんですけど?」 「おっ!? そうか、そりゃ、悪かったな。・・・じゃ、また出直すか」 川北先生はそう言って、やっと出て行ってくれた。 カーテンの外では麻美が身支度を調えている音がする。 あたしはベッドの上で頭を抱えた。 今の麻美の、川北先生とのやり取りって・・・ 完全にあたしたちへのフォローだよね? |
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―――ってことは・・・ 気づいてた? 間もなく支度を整え終わったらしい麻美が、保健室の入り口のドアを開ける音がする。 軽く咳払いをした後、 「ちょっと・・・」 麻美の声が飛んでくる。「あんたたちもいい加減にして帰りなさいよ?」 や、やっぱりバレてた――――――ッ!! 麻美はそれだけ言うと、さっさと保健室を出て行った。 あたしは恥ずかしさに顔を熱くしながら慌てて服を着ると、ベッドから飛び降りた。 「なんで、いっつもあいつが出てくんのかね?」 陸はネクタイをポケットに丸めながらブツブツ言っている。 あたしは陸の背中を叩いて、 「もうっ! あんなところでしようとする方が悪いっ!」 と陸を睨んだ。 もう・・・ どうするのよ。麻美に聞かれちゃって・・・ これからどんな顔して会えばいいのか・・・ 学校を出て駅への道を歩く。打ち上げ会場のカラオケボックスは駅前にあった。 「じゃ、いつ、どこでならいいの?」 陸が口を尖らせながら言う。「今決めて」 「いつって・・・そんなの、分かんないよ」 「今決められないなら、今する!」 と言って陸はあたしの手をつかんだ。「今から、オレんち行こ!」 「わ、わわ、分かった! 今決めるからっ!」 ―――・・・って言っても・・・いつ? そんなの決められないよ・・・ 考えただけで顔が熱くなってくる。 あたしが俯いて考えていると、 「7月7日」 と陸が言った。「オレの誕生日!」 「え? そーなんだ? 七夕生まれなの?」 へぇ、知らなかった。 付き合って2ヶ月近くたつのに、誕生日も知らなかったなんて・・・ ところで陸は、あたしの誕生日は知ってるのかな? 教えたほうがいい? でも、なんか、そう言ったら、プレゼントとか催促してるみたいで恥ずかしいな・・・ 「その日に、結衣をちょーだい?」 「・・・え、ええっ!?」 「あと1ヶ月あるし・・・。結衣が言う、準備ってのも出来るでしょ?」 そ、そんな・・・ 1ヶ月なんて、あっという間だよ・・・ 「はい、決まりっ!」 陸が嬉しそうにそう言ったとき、ちょうどカラオケボックスに着いた。「それまでは、また、想像の中で結衣にご奉仕してもらおっ♪」 「絶対止めて!」 「じゃ、他の子のコト考えてした方がいいの?」 ううっ・・・・ それはもっとイヤ! あたしたちがドアを開けて店内に入ると、フロントのところに五十嵐くんが立っていた。 五十嵐くんはフロント前の自販機で缶コーヒーを買うところだった。 |
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「・・・村上さん。遅かったね」 とあたしと陸の顔を交互に見る。「何・・・やってたの?」 「え? あ、何って・・・」 あたしがオドオドしていると、 「オレたちがナニしよーと、センパイにはカンケーないっスよね?」 と、陸が横から答えた。 「―――・・・」 五十嵐くんが黙って陸を睨んでいる。 ちょっとちょっと? なんかこの二人も気が合わないみたいで、いつも険悪な雰囲気なんだよね。 「り、陸のクラスは何階?」 さっさと別れさせようとエレベーターのボタンを押したら、 「あ! 今日はよくも余計なことしてくれたわねっ!」 下ってきたエレベーターの扉が開いて、中から麻美が降りてきた。 麻美のクラスもここで打ち上げだったの? 「うるせぇ! 運んでやったんだから、感謝しろよっ!?」 「だから、頼んでないって言ってるでしょっ!?」 麻美はすっかりいつもの調子に戻って、「しかも、あんたが借り物競争で失格にならなければ、青が優勝だったって言うじゃないっ!何やってんのよ!?」 「あんたはオレの最後の活躍見てなかったのかっ!? リレーで凄かったんだからな!?」 「いくらリレーで1位だったって言っても、結局は優勝できなかったしね〜」 「それが全部オレのせいかよっ?」 「―――・・・村上さん、行こ。A組は4階だから」 五十嵐くんが二人のやり取りを見て呆れている。 「う、うん―――」 あたしと五十嵐くんがエレベーターに乗ろうとすると、 「あ、ちょっと待て! 勝手に結衣を連れてくな! こっちの話が終わってねーだろっ!?」 「商業科と話すことは、何もない」 「学科で差別しやがったなっ!?」 「悪いか?」 「ちょ、ちょっと、3人とも止めようよ〜」 揉めている3人を前にあたしが焦っていると、 「あの・・・お客様? 他のお客様のご迷惑にもなりますんで、ケンカなら外でやってもらえますか?」 と目の前のフロントから注意されてしまった。 なんでいつもこーなっちゃうの〜っ!? |
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